何となく録画して観たETV特集で森崎和江さんという方を初めて知ったのだが、どの言葉も逃したくないくらい素晴らしい番組だった。
日本の植民地支配下にあった朝鮮半島で、支配する側の両親のもとに生まれ、日本に帰ってきてからは植民地支配をする側の身分だった自分と、日本にも朝鮮半島にも居場所のない自分の立場に苦しみながら、炭鉱や女性史、海外売春婦などについて多くの著書を残したのだそう。調べてみたら沢山の著書があった。
釘づけになったのが、森崎さんが携わった女性交流誌『無名通信』の第1号の出だしの言葉。
画像はウィメンズ アクション ネットワーク(WAN)のHP内より。
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「わたしたちは女にかぶせられている呼び名を返上します。無名にかえりたいのです。なぜなら。」
「わたしたちはさまざまな名で呼ばれています。母、妻、主婦、婦人、娘、処女…と。たとえば「母」は、「水」などと同じことなの質をもっているはずです。ところが、それがなにか意味ありげなものとして通用しています。まるで道徳のオバケみたいに。献身的平和像、世界を生む母などという標語をくっつけて。女の矛盾はみなここで溶けてなくなってしまうかのようです。
わたしたちの呼び名に、こんな道徳うくさい臭いをしみこませたものは、家父長制(オヤジ中心主義)です。」
これが書かれたのが1959年。
遅ればせながら、これらの言葉に出会えてよかった。なかなか読みたい本を読みたいだけ読むのが難しいけれど、森崎和江さんの著書もリスト入り。
韓国の音楽やドラマ、本に親しむ私は、森崎さんが、朝鮮半島で育ったことで感じていたジレンマや苦しみについても知っていきたい。